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即刻・納得・継続!

 昨日は、超すごい先生に出会った。御年79歳。一昨年まである私立小学校の担任としてご活躍だった先生である。小柄で、足取りもそれほどしっかりしておられず、初めてお目にかかったときは「大丈夫かな?」と心配した。

 ところが、教育の話になると、別人28号!目に光が出てきて、滑舌良く、きびきびと、また、厳しく、優しい語りになるのだ。その先生が目指すのは「主体的な学び」。教育界ではもうすっかり手あかがついてしまった言葉だが、「主体的」を「好きなようにする」と勘違いしている教師が多く、総合的な学習が全く効を奏さない今、「本当に子どもが主体的になり学習するとは?」ということを教えていただいた。

 「主体的」とセットで語られるキーワードとして「はい回り」「放任」「問題解決学習」などがあるが、戦後すぐ流行った問題解決学習が「はい回り」と批判されたとき、渦中にいて相当なご苦労を重ねられた先生の中では、「はい回り」なんて入るすき間もない、「放任」なんていい加減なことは許さないという哲学があった。

 「問題解決学習」か「できる、わかる学習」かなんて、論争は今でもあるようだが、私としては、そんな問題の立て方自体が間違っていると思う。問題解決学習も、できる、わかるも両方必要で、相互作用的に育てていくものであると思っている。

 だから、この先生の話は、できる、わかるための「学習訓練」と「問題解決の筋道」また、それを支える「人間教育としての心の教育」というのが一体になって語られた。「どれか」ではなくて、「どれも」なのだ。

 昔は、こんな厳しくて、心底「子どもが好き!」で、しかも「教育とは」という自分の信念を持った先生がおられたなあ、と懐かしく感じた。今の教職員集団の中では、これほど熱く「人間を育てるとは?」「教師とは?」と語る先生はいない。うわべだけのことに惑わされていて、教師として大事なことをいつの間にか忘れてしまっているのではないだろうか?と自分を振り返った。

 その先生が教師として大事にされていることは

 「即刻・納得・継続」であった。

 即刻とは、指導の機会を逃さず、その時、その場でよかったとか、悪かった、とかすぐにフィードバックすることである。学習中、子どもが見せる姿の「どこがよくて、どこがわるい」とはっきり「気づかせる」(教えるばかりではない)ことが要諦というのである。

 納得とは、子どもが「本当にそうだなあ」と実感するような説得、体験をさせることである。口先だけのお説教では子どもは納得しない。心から「叱る」そして「君にはもっといいところを伸ばして欲しいのだよ」という気持ちが伝わらないと、納得はできない。その力を、教師は毎日、毎日、教室で鍛える必要があるといわれた。

 継続とは、指導したことを「しつこく繰り返す」ことである。一度指導したからといってすぐに成果はでない。少しずつ変わってきたことをほめ、子どもを励まし、共に喜ぶことを継続していくことが必要なのである。先生は、とにかく、記録を大事にされていた。自己点検カード、ノート、グラフ、子どもの達の成長が目に見えて分かる形に変換して子ども自身が、「自分のよいところはこれ、なおすところはこれ」と気づき、やる気を持たせる手立てにしておられた。

 もう、お気づきのことと思うが、これらの手法は応用行動分析の原理にかなった手法である分かる。とにかく先生の励ましの言葉や、自己記録の伸びなどが「強化子」になって、「学習する」という行動が自発するのだ。最近、多くの「素晴らしい授業」をする先生方と出会っているが、共通していえるのは、「いいものは、いい!みんな同じ!」ということであった。原理を学ぶと言うことは、表向きの行動の在り方や方法にこだわらず、共通したよさ(=機能)を発見できることになるのだと思った。

 最後に、本当にサプライズ。質問に「どうしても集中できず、指示が通りにくい子どもさんには、どうしたらよいでしょう」という話が出た。すると、K大学医学部のY先生は教え子だから、その先生の話をきいたらいいよ、とさらりとおっしゃった。この夏、STPでご指導を受けたY先生を知っている一同は「!!!!」 お医者様のY先生はこどもたちへの眼差しが本当に優しく、一人ひとりを大事にされる先生だ。そのY先生もこの先生の御指導を受けていたとは!世の中なんと狭く、でも、「いいものつながり」の輪、というものは、やはりあるんだなと感じた。なんとも不思議な、そして、貴重な一日だった。

 研修会が終わった後の別れ際、何度もみんなの手を握り「今日は本当に幸せだった。みなさん、21世紀の教育頼みますよ!」「ありがとう、ありがとう」とおっしゃったI先生。

 I先生のご健康を心よりお祈りいたします。

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グラフの効果

 教室で風邪がはやっている。三十数名も子どもがいれば、風邪のウィルスも蔓延して当然だ。対策は、3つ。「うがい・手洗い・換気」

 このうち「うがい・手洗いをした人」を帰りの会で調べてグラフにする。「何人?」と聞いてグラフに描くだけで、うがい・手洗いの人数が上昇している。これはとくにポイントを上げているわけではないが、グラフがあがること自体が「いいこと」とか「おもしろい」と思っている子どもが多いのだろう。なんと幸せなクラス。クラス単位でも自己記録行動というのが大事というのが分かるなあ。

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